投了の美学
公開日:
:
最終更新日:2014/12/07
将棋観
~投了の美学~
将棋とは、麻雀のように勝者が勝ちを宣言したり、スポーツのようにスコアがあるわけではなく、自らが負けを認め宣告しなければならない非情な戦いであります。
負けを認めた時、「負けました」や「参りました」と言い頭を下げ、対局を終わらせることができ、棋譜を汚すことなく投了するのが最後の責務であると考えられています。そして勝者はその降伏を受け入れなければなりません。
投了のタイミングは実に難しく、プロ棋士は数手前から負けを悟っていてもすぐには投げたりしません。たとえ勝ち目がなくても一手差の局面にし、綺麗な手、絶妙手、必至級の手を指されたタイミングで潔く投了します。決して見苦しく継続したりしません。その際、勝者は敗者の心情を察し投げ場を作ってあげる配慮が必要です。お互いの意思疎通が通じた瞬間に美しい棋譜として残り続けます。
共同の芸術作品を美しい形で終えて、後世に残しても恥ずかしくないようにという、日本文化特有の美を追求した行為なんでしょう。
話は変わりますが、サッカーワールドカップでは日本代表が惨敗したにもかかわらず、サポーターの一部がスタジアムのゴミを集めてからその場を離れたことに、インターネット上で話題になり世界中から称賛されていました。海外ではあり得ない行為のようですが、自分のゴミ、周りのゴミを片付けることは日本人として当たり前のマナーであり、決して忘れてはいけない精神です。
将棋もサッカーも綺麗に残すのが日本人特有の美学なんでしょう。
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