将棋格言~阪田三吉、銀が泣いているの本当の意味 ~
将棋には先人達の努力の積み重ねによって培われた定跡や多くの格言があります。先人の成功・失敗体験に基づいた格言は、局面を優位に進めるためのアドバイスと言っていいでしょう。
ところでみなさんは阪田三吉王将をご存じでしょうか?
戦前に活躍した将棋指しで、大阪新世界の通天閣下には阪田三吉王将の碑があったり、村田英雄の歌「王将」のモデルで有名です。将棋に関しては、阪田流向かい飛車の定跡や多くの格言・名言を残しています。
その中でもっとも有名なのが、銀が泣いているという格言です。
私は当初、棒銀が空振りして、攻めにも守りにも参加できずに盤の隅でポツンとたたずんでいて、遊んでいる様子を銀が泣いていると思っていました。
![]() 阪田三吉扇子【馬】 |
しかし本当の意味は、銀をあいてに取ってもらうことによって、その下段にいる香車を攻めに参加させるという阪田の壮大な構想を、相手が見破り取らなかったので、銀は銃口を突きつけられたまま身動きもできず、おびえたままただただ殺されるのを待っていた様子を、阪田は銀が泣いていると表現したようです。
遊んでいる銀と、取られるのをビクビクしながら待っている銀では、意味合いが全然違っていますね。
将棋には多くの格言が存在していて何気なく使っていますが、もしかしたら格言一つ一つに棋士の壮絶な物語があるのかもしれません。
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