晩年の升田将棋は超早指し〜第11期十段戦 対加藤戦〜
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プロ棋士
昭和47年の十段戦挑戦者決定リーグから。
升田九段の年齢は54才。晩年は体調不良による休場も多々あったようだ。
対戦相手は、神武以来の天才と称される加藤一二三(当時八段)である。彼は長考派でありながら、秒読みにも定評があり「一分将棋の神様」の異名をもっているほどの実力者である。
持ち時間はお互いに6時間。使い切ると一手1分の将棋。
戦型は先手升田九段、得意のヒネリ飛車となる。
指し手は43手目。驚くことに升田九段、なんとここまでノータイムで指し進めていきます。
44手時点での加藤九段は、持ち時間6時間の内5時間を消費。
その後、52手目で加藤の持ち時間がなくなり一分将棋となるが、対する53手目までの升田の消費時間は2分である。2時間の間違いではと思われたが、たしかに2分である。
加藤九段からみれば、長考して決断した指手を、「読んでいました」と言わんばかりに指されるので、さぞかしやり難かったのではないだろうか。
終局は87手。先手升田の消費時間はわずか8分で加藤九段をフルボッコにしてしまったのだ。
その後7年で引退することとなるが、数々の逸話は将棋界の歴史を語るうえで欠かすことはできないだろう。
最後に私の好きな升田名言を紹介します。
「棋士はなくてもいい商売だ。だからプロはファンにとって面白い将棋を指す義務がある。」
新手一生を掲げ、定跡にとらわれず多くのファンを魅了した天才升田のエピソードでした。
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